医食同源と言う言葉があります。日常の食事で病気の予防や治療を行うという考え方ですが、薬膳もこの考えを受け継いでいます。
日頃の料理に使われるスパイスだけでなく、より大きな括りである漢方薬を利用しながら健康増進、病気の治療や予防を行うのが薬膳料理です。漢方薬はスパイスが植物のみであるのに対して、薬膳は動物、鉱物などの天然物も用いた薬です。
西洋医学が、病理学的見地から細かな分析、データをもとに病名を判断し治療していくのに比べて、漢方は検査分析よりも個人の自覚症状や体質、体力、見た目などから全身の情報の総合的判断にもとづいて診断します。
漢方では陰陽五行説にもとづき、すべての動物を「酸・苦・甘・辛・鹹」の5つの味に分類しています。そして五味は五臓と深く関わっています。
さらに五味と並んで大切なのが、五気とよばれる動植物が本来自然に備えている性質や作用です。
これらの性質を持った食物も、熱を加える事で涼寒性が平性に変化するなど、調理の仕方でその性質が変わってきます。例えば、身体が冷えている時は熱温の食物を、反対に身体に熱がこもっている時は涼寒の食物を積極的に摂るとよいでしょう。