- ディル
- 唐辛子
31・ディル
- [英名]Dill
- [和漢名]
- [学名]Anethum graveolens L.
- [科名]セリ科
- [原産地]地中海沿岸 インド
- [向いている料理]ピクルス マリネ ジャーマンポテト 魚貝料理 豆料理 パン 菓子
- [薬効]不眠 精神安定 頭痛 口臭防止 駆風 健胃 利尿 肛門潰瘍の軟膏 嘔吐
メソポタミアから世界へ広まったスパイス
紀元前4000年代にシュメール人によって栽培され後にバビロニア、ギリシア、ローマにも広がり、食べ物に風味をつけるだけでなく保存性を高めたり消化を良くするなど現代と同じ使われ方をされていた。
ディルの名は鎮めるという意味も古代スカンジナビア語に由来し、昔から鎮静効果があるとされ、ディルティーは子供の夜泣きの特効薬とされてきた。
チャービルと同じく料理のあしらいに
同じセリ科のフェンネルに非常によく似た形をしているディルは、カナッペやサンドイッチなどのあしらいに頻用される。北の方で獲れる魚に合うスパイスで鮭(サーモン)やニシンとの相性は抜群であり、ピクルスに加えるとやや甘味のある芳香が味わえる。
ディルは欧米では家庭菜園で盛んに栽培されているスパイスで植物全体に芳香がある。シードだけでなく若い葉や茎、花も使用できる。種子はキャラウェイシードに似た刺激的な香りとピリピリした辛味があり、葉にはすっきりとした風味(カルボン40-60%、フェランドレン、リモネン、ピネン、ジペンテン他)がある。
欧米以外でも、インドではカレーの材料に使われ一般的な調味料である。
32・唐辛子
- [英名]Red pepper,Chilli
- [和漢名]唐辛子 南蛮
- [学名]Capsicum annuum L.
- Capsicum frutescens L.
- [科名]ナス科
- [原産地]南アメリカ
- [向いている料理]カレー 焼肉 スパゲティ キムチ 炒め物 煮込み 鍋物 和え物 漬
- [薬効]食欲増進 血行促進 神経痛 肩こり 強壮 風邪 発汗 ダイエット 神経痛 リウマチ 脱毛症
世界各国の代表的調味料となったスパイス
メキシコユカタン半島のマヤの人々が8000年前の狩猟採集の時代から使っていたスパイスである。
辛味の成分はカプサイシン類によるもので、辛味の度合いはカプサイシンの量や化学構造の違いによって決まる。カプサイシンは果皮と内壁に含まれ胡椒の辛味成分ピペリンのやく100倍の辛さを持っている。
辛さの単位・スコヴィル値
「スコヴィル値」とは、舌でカプサイシンの辛味を感じ取れなくなるまで水で薄め、その水量で辛味の強さを測定した値である。唐辛子の辛さはこのスコヴィル値表される。
ちなみにししとうは0、鷹の爪の語源になった三鷹唐辛子は4万、ハラペーニョは8000、2012年ギネス認定の世界一辛いキャロライナリーパーは300万という値が出ている。
日本の唐辛子、鷹の爪は辛いだけでなく風味も良いため一味や七味唐辛子の材料とされる。このように各国で独自の加工品が多いスパイスで、アメリカのタバスコ、韓国のキムチ、中国の豆板醤、インドネシアのサンバル、アフリカのハリッサなどがあるが、消費量トップはタイでインド人のおよそ2倍に相当する。
スパイス豆知識・暑い国で大量消費はなぜ?!
カレーは暑い夏に!汗を流しながら食べるのが通!というイメージは、日本でも浸透してきている。インドやタイなどの暑い国々では辛味のあるスパイスは多用されているが、これには理由がある。
熱帯地方で辛い食べ物が好まれるのは、辛い物を食べると血流が良くなって体温が上がり、発汗が促されて体内に溜まった熱が皮膚表面から逃げやすくなるからである。これにより涼しく感じ、暑さをしのげるようになる。普通に汗を掻くだけでも体温は下がるが、辛い物を沢山食べるとより一層体温は下がる傾向にあり、暑い国に住む人々の生活の知恵と言える。