- ナツメグ
33・ナツメグ/メース
- [英名]Nutmeg / Mace
- [和漢名]肉豆蔲(ニクズク)
- [学名]Myristica fragrans Houttuyn
- [科名]ニクズク科
- [原産地]東インド諸島 モルッカ島(インドネシア)
- [向いている料理]ひき肉料理(ハンバーグ ミートローフ ロールキャベツ) クリームスープ プディング クッキー ケーキ
- [薬効]消化不良 食欲増進 下痢 頭痛 解熱 腹痛 口臭防止 健胃
中身はナツメグ、種皮はメース
十字軍によりヨーロッパに持ち込まれたスパイスで、食用になったのはポルトガル人がモルッカ諸島と貿易を始めてからと言われている。
20mほどの高木で杏子に似た果実をつける。果実は熟すと2つに割れてレース状の赤い網状の膜に包まれた黒褐色の種子が現れる。この種子の中にある「仁」がナツメグである。また、このレース状の赤い網状の膜はメースで、ナツメグより風味は弱く繊細な別のスパイスである。
ナツメグはエキゾチックでウッディな甘く刺激的な香りで、味はほろ苦いが木の実ならではの香ばしさがある。芳香成分はピネン、カンフェン、ミリスチシン、オイゲノールなど。
世界で薬用にも使われているスパイスで漢方では食欲不振、下痢止めに、日本では健胃剤に、インドでは頭痛や解熱剤に、16~17世紀のヨーロッパの医者は万能薬として使われていた。
使い方のポイント
ナツメグは独特の甘い香りが特徴的で、パンや焼き菓子などに加えるとナツメグの甘い香りが引き立つ。また肉の臭みをとる効果があるため、肉料理にも頻繁に使われる。
煮込んだり焼いたりと、火を通すことによってより香りが立つので、基本的に火を通す前に使うのが理想的である。また、使用量が多いと刺激の強い香りになってしまうこともあるため、使用量に注意する。シナモン、クローブ、オールスパイスなどの香りの似ているスパイスを組み合わせるとナツメグ臭が抑えられマイルドになる。
日本でもハンバーグのスパイスとして認知度が高い
挽肉料理には欠かせないスパイスで、ハンバーグやミートローフ、ミートソースを作る際に良く用いられる。上での述べたように、加熱する前の下ごしらえの段階で使用するのがポイント。キャベツやチーズ、クリームとの相性も良い。
メースも用途はほとんど同じだが、色の薄い料理に入れても色が濁らないというメリットがある。
スパイス豆知識・オランダによる独占支配!
15~17世紀頃、オランダはナツメグの生産と販売を独占しようとナツメグの栽培をバンダ島とアンボイナ島だけで行い、他の場所に生育するすべてのナツメグの木を計画的に切り倒した。
このオランダの独占計画は一時は成功したかに見えたがフランス人の密輸業者と鳥によって破られた。鳥が種子を飲み込み、近くの島で排泄する事はオランダ人にも防ぎようがなかった。この結果ナツメグの値段が下がり、広く世に知られるようになった。