Lesson 2-4 スパイスの基本④スパイスとハーブの違い

spice-1631560_640

ここまでスパイスの様々な分類を学習してきましたが、その中であれ、これはハーブじゃないの?」「フレッシュだとハーブで乾燥させるとスパイス?」などの疑問をもたれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここではそんなスパイスとハーブの違いについての様々な見解を、しっかり学んでいきましょう。

 

スパイスとハーブの定義

スパイスとハーブの違いは今日でもさまざまな見解があり、結論から言うと明確な区別がないのが現状です。

もともとの名前の由来は、スパイス(spice)はラテン語で ‘species’(特別な種) 、ハーブ(herb)はラテン語で ‘Herba’(草木) を語源としています。これを見ると、種はスパイス、草木はハーブと分類できそうな気がしますが、1つの植物でもセリ科のように種も葉も使えるものは、どう区別できるのでしょう?

種はスパイス、葉はハーブとなるのでしょうか? 本によっては、

「スパイスは食用のみで、ハーブは薬用も含まれる」

「スパイスはドライの種で、ハーブはフレッシュも含まれる」

「スパイスには木は含まれるが、ハーブは草だけ」

「ハーブ系スパイス」

「ハーブはスパイスに含まれる」

と、実に様々な異なる見解が書かれています。やはりこの分類については、今はまだ明確な区別がなされていない、というのが現状なのです。

 

 コリアンダーはスパイス?ハーブ?

Teodora D/Shutterstock.com

Teodora D/Shutterstock.com

コリアンダーは香草・パクチーなど様々な呼び名があります。同一のものを指しますが、コリアンダーは主にスパイスの時に用いられる英語の呼び名で、エスニック料理など生食の呼び名としてタイ語のパクチーという区別が何となくされています。今やパクチーは専門店が次々できるほど、人気が高まっているハーブですね。

ハーブの中にはこのパクチーのようにキッチンハーブと呼ばれるルッコラバジルのような、野菜感覚で使われるものもあります。スパイスにフレッシュは含まれないとすると、フレッシュスパイスを使ったレシピ本などはすべてハーブと書き直さなければなりません。

レモングラスは、ドライでもフレッシュでも使いますし、先ほどご紹介したコリアンダーは種はスパイスと呼ばれますが、生葉はパクチーですから、フレッシュハーブとしても有名です。またタイ料理には、乾燥させたスパイスはもとより、レモングラスやバイマックル(こぶみかんの葉)が使用されます。

prawn-545233_640

 

草だけとは限らないハーブ

また、ハーブは草だけとは限りません。
クローブシナモンなどの薬効成分を利用したメディカルハーブ療法アロマテラピーがありますし、西洋シナノキリンデンなど、樹皮はハーブの中に沢山含まれています。

スパイスとハーブの境界線を引こうとする試みは過去何度もなされてきましたが、スパイスの奥深さや種類の多さ、その調理法の幅広さや文化の違いにより、やはり明確な境界線を設けることは難しいようです。

※メディカルハーブ療法やアロマテラピー・・・薬効成分の高いハーブは沢山ありますが、日本では、一般市民が手にすることが出来るハーブ類は食品扱いで、医薬品ではありません。イギリスやドイツではハーブを医薬品としてハーバリストが処方しています。ただ、日本でも中国のハーブ=漢方ならば中医が存在します。

 

■Lesson2-4 まとめ■

  •  スパイスとハーブの区別に関しては、今日でも様々な見解がある。
  • スパイス(spice)はラテン語で ‘species’(特別な種) 、ハーブ(herb)はラテン語で ‘Herba’(草木) を語源としている。
  • 生の葉や草のイメージが強い「ハーブ」という言葉だが、クローブ、シナモンなどの薬効成分を利用したメディカルハーブ療法やアロマテラピーが存在し、西洋シナノキやリンデンなどの樹皮や葉のものもハーブの中に含まれている。