ここで、スパイスとハーブの定義について、スパイスやハーブの協会や企業の公式見解も見ておきましょう。
全日本スパイス協会の定義
香辛料とは
植物体の一部で、植物の果実、果皮、花、蕾(つぼみ)、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎などであって、特有の香り、辛味、色調を有し、飲食物に香り付け、消臭、調味、着色等の目的で使用し、風味や美観をそえるものの総称であり、スパイスとハーブに大別されます。
スパイスとは
香辛料のうち、利用部位として茎と葉と花を除くものの総称です。
具体例:ニンニク、ショウガ、ごま(ごまの種子)、唐辛子、ホースラディシュ(西洋ワサビ)、マスタード(からし)、ケシノミ、ゆず、胡椒、ナツメグ、シナモン、パプリカ、カルダモン、クミン、サフラン、オールスパイス、クローブ、山椒、オレンジピール、ウイキョウ、カンゾウ、フェネグリーク、ディルシード、カショウ、ロングペパーなどです。
ハーブとは
香辛料のうち、茎と葉と花を利用するものの総称です。
具体例
クレソン、コリアンダーリーフ(こうさい)、紫蘇、セロリー、タラゴン、チャイブ、チャービル、ニラ、パセリ、マスタードグリーン(からしな)、ミョウガ、ヨモギ、バジル、オレガノ、ローズマリー、ペパーミント、サボリー、レモングラス、ワサビ葉、山椒の葉などです。
(全日本スパイス協会ホームページより引用)
日本メディカルハーブ協会の定義
メディカルハーブとは?
ハーブは人の生活に役立つ植物の総称です。「薬草」や「香草」と邦訳され、料理をはじめとして日常生活のさまざまな分野で活用されています。その中で、ハーブに含まれている成分を健康維持のために使おうとする分野で、薬用植物そのものを示す場合もあります。
(日本メディカルハーブ協会ホームページより引用)
S&B食品によるスパイス&ハーブの定義
種類もスパイスが数百種類程度なのに対し、ハーブの種類は万を超えるとも言われています。そこでハーブは、「より広く、その香りや色彩・形状、有用な成分で私たちの生活全般に香りと潤いをもたらしてくれる植物」と考えればよいでしょう。
(エスビー株式会社スパイス&ハーブ事典より引用)
以上のような資料をもとにすると、一般にスパイスの方がより広義的に使われているように思われますが、それはキッチンハーブと呼ばれる狭義のハーブを考えた場合です。
メディカルハーブやアロマセラピーを含めた広義のハーブの種類を考えると、「ハーブの中に食品として使用するスパイスが含まれている」と考えるのが、今日では妥当という見方が優勢です。
しかし依然として、「スパイスの中の一部分がハーブ」と考える方も少なくないことも覚えておきましょう。
■Lesson2- 5 まとめ■
- 日本にもスパイスやハーブの協会や企業が幾つかあり、それぞれの定義をみることができる。
- メディカルハーブやアロマセラピーを含めた広義のハーブの種類を加味し「ハーブの中に食品として使用するスパイスが含まれている」という考え方と、「スパイスの中の一部分がハーブ」と考える方など、いくつかの見解がある。