スパイスが持ついろいろな働き
私たちの食欲がそそられるスパイスの働きは、大きく分けて下記の3つがあります。
- 香りを付ける
- 辛味を付ける
- 色を付ける
カレーを想像してみて下さい。誰でもすぐに気づいてしまう美味しそうな匂い、ターメリックの黄色いスープ、自由自在に好みで調節が出来る辛さ、この3つが揃った、まさにスパイス料理の王様がカレーと言えます。
Lesson 3 では、スパイスの基本的な3つの働きを学んでいきましょう。
①香りを付ける
スパイスの中の精油成分
スパイスの香りの正体は、精油と呼ばれる揮発性の成分です。
殆どすべてのスパイスは芳香成分を持っています。精油は植物の細胞や組織に蓄えられていますので、スパイスを香らせたい時はこの組織を壊し、中から精油を放出させます。スパイスがホールよりも砕いた際に良く香るのはこのせいですし、ローリエなどの葉物スパイスは、細かくちぎった方が香りが発生します。
ミントの葉や、木の芽など、フレッシュで使う場合は、掌でパンと叩いてから使うと良い香りがします。
精油成分を多く含み、香りづけに使われるスパイス類
スパイス名 |
香りの成分名・味の特徴 |
シナモン |
シンナムアルデヒドオイゲノール |
バジル | メチルチャビコールリナロール 微苦味 |
スターアニス | アネトール 微苦味・渋味 |
フェンネル | アネトール 微苦味・渋味 |
他に、オールスパイス、クミン、ディルなどがあります。
精油成分を多く含み、臭み消しに使われるスパイス類
スパイス名 | 香りの成分名・味の特徴 |
ローズマリー | 1.8シネオール カンファー 微苦味 |
ガーリック | アリシン ジアリルジスルフィド 辛味 |
クローブ |
オイゲノール 刺激性・苦味 |
カルダモン | 1.8シネオール酢酸テルピニル 刺激性 |
他にキャラウェイ、セージ、タイム、ローリエなどがあります。
香りの役割
スパイスの香りの役割は大きく分けて2つあります。
1つは、豆や肉の獣臭さ、魚の生臭さや乾燥臭を抑える働きをします。
スパイスの力を借りて、臭いを覆い隠す「マスキング効果」です。マスキング効果は下ごしらえや調理中に効果を発揮します。
もう1つは、味に特徴を付ける効果があります。例えばシナモンなど香りの強いスパイスを、もともと美味しい味のトーストやドーナツにかけることにより、より一層風味が増し、特徴づけることになります。
以上のようにスパイスには、食品の臭いを抑える働きと、香りを付ける働き、両方を持っていると言えます。
■Lesson3-1 まとめ■
- スパイスの香りの正体は、精油と呼ばれる揮発性の成分である。スパイスの組織を壊し、中から精油を放出させることで、スパイスがより香るようになる。
- ホールのスパイスは砕いたり粉砕することにより、ミントの葉や木の芽など、フレッシュで使う場合は、掌でパンと叩いてから使うことにより、香りを放出させることができる。
- 香り付けに使われるスパイスには、シナモン・アニス・バジル・フェンネル・オールスパイス・クミン・ディルなどがある。
- 臭み消しに使われるスパイスには、ローズマリー・クローブ・ガーリック・カルダモン・キャラウェイ、セージ、タイム、ローリエなどがある。
- スパイスの香りの2つの役割とは、豆や肉の獣臭さ、魚の生臭さや乾燥臭を抑える働きと、味に特徴を付ける働きである。