Lesson 3-1 スパイスの働き①香りを付ける

スパイスが持ついろいろな働き

私たちの食欲がそそられるスパイスの働きは、大きく分けて下記の3つがあります。

  • 香りを付ける
  • 辛味を付ける
  • 色を付ける

カレーを想像してみて下さい。誰でもすぐに気づいてしまう美味しそうな匂い、ターメリックの黄色いスープ、自由自在に好みで調節が出来る辛さ、この3つが揃った、まさにスパイス料理の王様がカレーと言えます。

Lesson 3 では、スパイスの基本的な3つの働きを学んでいきましょう。

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①香りを付ける

スパイスの中の精油成分

スパイスの香りの正体は、精油と呼ばれる揮発性の成分です。

殆どすべてのスパイスは芳香成分を持っています。精油は植物の細胞や組織に蓄えられていますので、スパイスを香らせたい時はこの組織を壊し、中から精油を放出させます。スパイスがホールよりも砕いた際に良く香るのはこのせいですし、ローリエなどの葉物スパイスは、細かくちぎった方が香りが発生します。

ミントの葉や、木の芽など、フレッシュで使う場合は、掌でパンと叩いてから使うと良い香りがします

 

精油成分を多く含み、香りづけに使われるスパイス類

スパイス名

香りの成分名・味の特徴

シナモン

スティックシナモン

シンナムアルデヒドオイゲノール
微辛味・甘味

バジル

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メチルチャビコールリナロール
微苦味
スターアニス

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アネトール
微苦味・渋味
フェンネル

kps123/Shutterstock.com

kps123/Shutterstock.com

アネトール
微苦味・渋味

他にオールスパイスクミンディルなどがあります。

 

精油成分を多く含み、臭み消しに使われるスパイス類

スパイス名 香りの成分名・味の特徴
ローズマリー

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1.8シネオール
カンファー
微苦味
ガーリック

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アリシン
ジアリルジスルフィド
辛味
クローブ

クローブ

オイゲノール
刺激性・苦味
カルダモン

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1.8シネオール酢酸テルピニル
刺激性

他にキャラウェイセージタイムローリエなどがあります。

 

香りの役割

スパイスの香りの役割は大きく分けて2つあります。

1つは、豆や肉の獣臭さ、魚の生臭さや乾燥臭を抑える働きをします。
スパイスの力を借りて、臭いを覆い隠す「マスキング効果」です。マスキング効果は下ごしらえや調理中に効果を発揮します。

もう1つは、味に特徴を付ける効果があります。例えばシナモンなど香りの強いスパイスを、もともと美味しい味のトーストやドーナツにかけることにより、より一層風味が増し、特徴づけることになります。

以上のようにスパイスには、食品の臭いを抑える働きと、香りを付ける働き、両方を持っていると言えます。

肉料理の下ごしらえには、沢山のスパイスやハーブが使われます

肉料理の下ごしらえには、沢山のスパイスやハーブが使われます

 

■Lesson3-1 まとめ■

  • スパイスの香りの正体は、精油と呼ばれる揮発性の成分である。スパイスの組織を壊し、中から精油を放出させることで、スパイスがより香るようになる。
  • ホールのスパイスは砕いたり粉砕することにより、ミントの葉や木の芽など、フレッシュで使う場合は、掌でパンと叩いてから使うことにより、香りを放出させることができる。
  • 香り付けに使われるスパイスには、シナモン・アニス・バジル・フェンネル・オールスパイス・クミン・ディルなどがある。
  • 臭み消しに使われるスパイスには、ローズマリー・クローブ・ガーリック・カルダモン・キャラウェイ、セージ、タイム、ローリエなどがある。
  • スパイスの香りの2つの役割とは、豆や肉の獣臭さ、魚の生臭さや乾燥臭を抑える働きと、味に特徴を付ける働きである。