色味を付けるスパイス
色素成分の抽出法
スパイスの色素成分には、水溶性のものと油溶性のものがあります。クチナシやサフランなどは水溶性で水に浸けると黄色になりますが、ターメリックやパプリカは下に沈みます。
水溶性のクロシン
サフランの色素成分クロシンの着色力は非常に強力で、0.1gを500~600mlの水に溶かしただけで、充分濃い黄色になります。
油溶性のクルクミンやカプサイシン
ターメリックの色素成分クルクミンは、油のPH濃度で色が変わります。酸性では黄色、アルカリ性では褐色に変化します。
ラー油が赤色をしているのは、唐辛子の色素成分カプサンチン(油溶性)が、ゴマ油に溶け出ているせいです。
色素の性質をマスターするメリット
着色力のあるスパイスが水溶性、油溶性のどちらなのかを知っておくことで、料理に応用が利きます。例えば、ターメリックの黄色を使いたい時は、油ものと混ぜ合わせて使う方が良いですし、パプリカドレッシングはノンオイルでなく、少しでも油を入れた方が赤色が際立ちます。
ここでは代表的なものを4つ、その性質と合わせて覚えておきましょう。
スパイス名 | 色素の成分名・香りの特徴 |
クチナシ | クロシン(黄色)水溶性微香 |
ターメリック | クルクミン(黄色)油溶性土臭い芳香 |
サフラン |
クロシン(黄色)水溶性独特の芳香 |
パプリカ |
カプサンチン油溶性甘い芳香 |
世界のスパイス色素の活用
①世界で最も有名な黄色いライス
サフランの黄色が使われる代表的なものは、スペイン料理のパエリアです。
私たちの知っている「サフラン」は、サフランの雌しべです。1つの花から3本だけ採れる、大変貴重なものです。
②着色力を利用したスパイス染め
日本の草木染めのように、着色力の強いスパイスを使って布を染める事は世界中で昔から行われてきました。PH濃度により色合いも変わってきます。
ターメリックの鮮やかな黄色は染色に使える他、クローブ、クチナシ他様々なスパイスを使って、茶、緑、青、赤などに染色する事が出来ます。
■Lesson3-3 まとめ■
- スパイスの色素成分には、水溶性のものと油溶性のものがあり、この性質を修得することで料理に応用がきくようになる。
- 水溶性の色素を持つスパイスには、クチナシやサフランなどがある。
- 油溶性の色素を持つスパイスには、ターメリックやパプリカなどがある。
- サフラン色素を用いた最も有名な料理は、スペインのパエリアである。
- サフランは、1つの花から3本だけとれる雌しべで大変貴重なものである。