Lesson 4-1 似たものスパイス①胡椒

似たものスパイスの違い

一口に「胡椒」「ごま」と言っても、その種類は実に様々なものがあり、私たちが日ごろ目にしている種類はその中のほんの少しにすぎません。Lesson4では、知っていそうで意外に知らない、似ているスパイスの違いを学んでいきましょう。

 

様々な種類がある胡椒

胡椒はスパイスの中でもバリエーションが豊富で、その数は数十種類にも及びます。
マダガスカル産のブラックペッパーやカメルーン産のホワイトペッパーなどは香り高い高級ペッパーとされ、ヨーロッパの高級レストランで使用されています。

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同じ植物から作られる胡椒

同じ胡椒の実から作られているのに違う名前で呼ばれているのが、「ブラックペッパー」「ホワイトペッパー」「グリーンペッパー」です。その収穫時期や乾燥方法が違います。
ちょうど日本での大豆の呼び方が、成長時期によって変化するのと似ていますね。

実が緑色のやや未熟な頃に収穫し、数日間堆積した後に天日乾燥させたものブラックペッパーで、完熟したものを収穫した後に外皮が柔らかくなるまで水に浸し、外皮をはがして乾燥させたものホワイトペッパーになります。

早い時期に収穫するグリーンペッパーは、現代の機械によるブランチング(加熱乾燥)やフリーズドライ(凍結乾燥)によって、色を保ちながら乾燥したものです。ソフトな辛さが特徴的で、色合いを楽しむ装飾的な用い方をされます。

産地では生のままスパイスとして利用される事もあります

産地では生のままスパイスとして利用される事もあります

ホワイトペッパーがはがしてしまう外皮の部分に、香りの成分が多く含まれているので、ブラックペッパーの方が強い香りを放ち野性的なのに対して、ホワイトペッパーはマイルドで上品な香味となります。この違いを上手く利用してあらゆる料理の万能スパイスとなります。

生産量は、ブラックペッパーがホワイトペッパーに比べて3倍と多いのですが、日本では繊細な味を求める和食にも使えるとして、ホワイトペッパーも人気があります。

 

 別の植物の胡椒のグループ

ロングペッパー

Antonio Gravante/Shutterstock.com

Antonio Gravante/Shutterstock.com

大昔のヨーロッパでは、ペッパーと言えばロングペッパーを指しました。
丸いコショウの歴史の方が浅いのですが、ロングペッパーはそのペッパーの名前を奪われ、丸いコショウに比べて長細い形をしているのでロングペッパーと呼ばれるようになりました。

日本でも沖縄で長胡椒と呼ばれ、古くから栽培されてきました。

 

ピンクペッパー

ピンクペッパーと呼ばれるものは実は3種類あります。

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  • コショウ科の胡椒を赤くなるまで熟させたもの
  • バラ科の西洋ナナカマドの果実
  • ウルシ科コショウボクの実を乾燥させたもの

後者の二つは通常の胡椒とは別物です。辛味成分が少なく、ほのかな苦味と甘い香りが特徴で、料理にスパイスとして使われるよりも彩りやアクセントとして使われます。

辛味のないピンクペッパーはチョコレートとの相性が抜群です。

Kotkot32/Shutterstock.com

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■Lesson4-1 まとめ■

  • 胡椒はスパイスのなかでもバリエーションが豊かで、胡椒だけで数十ほどの種類がある。
  • マダガスカル産のブラックペッパーやカメルーン産のホワイトペッパーなどは香り高い高級ペッパーとして有名
  •  ブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパーは同じ胡椒の実から作られるが、その収穫時期や乾燥方法が異なる。
  • ブラックペッパー・・・実が緑色のやや未熟な頃に収穫し、天日乾燥させたもの。強い香りを放ち野性的なのが特徴。
  • ホワイトペッパー・・・完熟したものを収穫後に外皮が柔らかくなるまで水に浸し、外皮をはがして乾燥させたもの。マイルドで上品な香味で和食にも用いられる。
  • グリーンペッパー・・・早い時期に収穫し、現代の機械によるブランチング(加熱乾燥)やフリーズドライ(凍結乾燥)によって、色を保ちながら乾燥したもの。ソフトな辛さが特徴。
  • ロングペッパー・・・大昔のヨーロッパではペッパーと言えばロングペッパーを指したが、丸い胡椒が主流となり、区別するためロングペッパーと言われるようになった。
  • ピンクペッパー・・・コショウ科の胡椒を赤くなるまで熟させたもの、バラ科の西洋ナナカマドの果実、ウルシ科コショウボクの実を乾燥させたものの3種類があり、後ろの2つは通常の胡椒とは別物である。