代々受け継がれる家庭のミックス
世界で最もスパイス輸出量の多いインドは、古代からスパイスを使った料理が作られてきました。特に暑さの厳しいインド南部では、暑さ負けによる胃腸虚弱や食欲不振を解消するため、スパイシーな料理が考案されました。また、生鮮食品は暑さによって腐りやすいので防腐、消臭のためにもスパイスは欠かせません。
私たちがインド料理として真っ先にイメージするのはカレーでしょう。地方によって、料理によって、また料理人や家庭の数だけ味の種類があると言われるインドのカレーは、数十種類のスパイスを複雑に組み合わせながら作ります。
カレーに限らず、紅茶にシナモンやジンジャーをブレンドしたチャイなど、料理全般に刺激の強いスパイスを多用します。
インドで頻用されるスパイス
- シナモン
- クローブ
- ジンジャー
- ターメリック
- カルダモン
- フェネグリーク
- フェンネル
- マスタード
- コリアンダー
- ブラックペパー
- ニゲラ
- 唐辛子
- ローレル
- メースカレーリーフ
- ナツメグ
- アジョワン
- カイエンペパー
- ミント
- アサフェティダ・・・など
代表的なミックススパイス「ガラムマサラ」
インド料理に使う基本的なミックススパイスで、2,3種類を混ぜたものから数十種類をミックスしたものまで様々です。インドの家庭では、ガラムマサラを1カ月、1年分と作り置きする事が多く、母から娘へ伝承するいわばおふくろの味ですので種類は限りなくあります。
嫁いでからは姑のそばで何年もかかって嫁ぎ先の配合を学びます。どんな料理でも仕上げにほんの少量を使うので、火を通す必要のあるスパイスは基本的にブレンドしません。日本では既にブレンドされたものが市販されています。
スパイスを意識してみるインドの郷土料理
インドの代表的なスパイス料理「インドカレー」
カレーの本場インドにはカレー粉やカレールウはありません。一つ一つスパイスを料理の旅にブレンドしますから、そのレシピは星の数ほど存在します。
その他のスパイス料理
ガラムマサラ、パプリカ、ヨーグルトなどを使ったタンドリチキン
ジンジャー、コリアンダー他沢山のスパイスを使うサモサ
■Lesson5-3 まとめ■
- 世界で最もスパイス輸出量の多い国がインドである。
- 暑さの厳しいインド南部では、胃腸虚弱や食欲不振を解消するためのスパイシーな料理が考案されてきた。
- 暑さによる生鮮品への影響を抑えるため防腐、消臭のためにもスパイスは用いられている。
- 料理人や家庭の数だけ味の種類があるインドカレーは、数十種類のスパイスを複雑に組み合わせながら作られる。
- ガラムマサラはインド料理に使う基本的なミックススパイスで、母から娘へ伝承するいわばおふくろの味となっている。家庭によってブレンドは異なりその種類は限りなく存在する。
- インドのカレーレシピは作るひとによって異なるため様々な種類がある。カレー以外にも、ケバブやタンドリンチキン、サモサなどスパイスを用いた伝統料理が多い。