Lesson6-3 日本のスパイスの産地

日本でも栽培できるスパイス

世界のスパイス産地を見渡しても多くは熱帯地方です。高温多湿の環境で良く育つスパイス類は、日本の四季のある寒暖差の激しい国では育ちません。その為、日本では多くのスパイスを輸入に頼っています。

しかし、日本の気候に適したスパイスもあり、日本原産のワサビやショウガ、紫蘇、山椒などが日本各地で栽培されています。

日本のスパイス生産地

日本でのスパイス生産地を見ていきましょう。
山椒の生産第1位である和歌山県は全国生産量の約70%を占めています。紫蘇は北海道が全国生産量の約25%を占めます。このようにして見ると、北から南まで幅広く生産されていることが分かります。

日本のスパイスの使い方

 日本のミックススパイス・七味唐辛子

Naoki Kim/Shutterstock.com

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16世紀に渡来したと言われる唐辛子は江戸時代になって盛んに栽培されるようになり庶民にも広がっていきました。この頃に漢方薬にヒントを得て唐辛子に旨みを加えたのが七味唐辛子です。ですから最初は漢方薬として売り出され、風邪に効くと人気があったそうです。
ちなみに、赤唐辛子の粉のみだと一味唐辛子と呼ばれます。

最初に売り出したのは、徳川時代の寛永年間、江戸日本橋の「やげん堀中島」の芥子屋徳衛門だと言われています。江戸庶民の好きな蕎麦に、七味唐辛子を薬味として使うと非常に美味で体も温まるとして、江戸の蕎麦には七味唐辛子が欠かせない存在となりました。この後、七味唐辛子は日本全国に広まりました。

七味唐辛子のブレンド

七味唐辛子のブレンドに決まりは特にありません。

唐辛子、山椒、麻の実、けしの実、白ごま、黒ごま、柚子もしくはみかんの皮(陳皮)、青のり、紫蘇の実、青じそなどの中から好みで選んで調合します。唐辛子は焼いたり炒ったりしたものと、粉末の2種類が使われます。地方によってもブレンドが大きく異なり、ショウガや赤紫蘇などを加える地域もあります。

関東風は青のりの香りが強めで、関西風は山椒の香りが強い傾向にあります。

七味唐辛子は、身近にあるスパイスで作れますので、ぜひオリジナルのブレンドを作ってみて下さい。七味全部が揃わなくても十分美味しいブレンドとなります。

Andrew Riverside/Shutterstock.com

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■Lesson6-3 まとめ■

  • スパイスの生産国は熱帯地方が中心だが、日本の気候に適したスパイスもあり、日本原産のワサビやショウガ、紫蘇、山椒などが日本各地で栽培されている。
  • 山椒の生産第1位である和歌山県は全国生産量の約70%、紫蘇は北海道が全国生産量の約25%を占めている。
  • 日本のミックススパイスである七味唐辛子は、江戸時代に漢方薬にヒントを得て唐辛子に旨みを加えて作られた。江戸庶民の好きな蕎麦に七味唐辛子を薬味として使う方法が人気となると全国に広まっていった。
  • 七味唐辛子のブレンドに特に決まりはなく、唐辛子、山椒、麻の実、けしの実、白ごま、黒ごま、柚子もしくはみかんの皮(陳皮)、青のり、紫蘇の実、青じそなどの中から好みで選んで調合する。地域によってブレンドが大きく異なる。