スパイスコラム6 日本の食文化におけるショウガの役割

「かやく」の意味を知っていますか?

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カップラーメンに入っている「かやく」や、「かやくごはん」など、普段何気なく使っている「かやく」と言う言葉は、漢字で書くと「加薬」になり、薬味を加えるという意味です。

もとは中国の漢方において、「薬には酸辛苦甘鹹の五味がある」という考え方から「薬味」と言う言葉を用いる様になりました。宋の時代に漢方が日本に伝わり、家庭でも容易に調達できる漢方の材料=加薬味として、ショウガが最も適当だったことから、ショウガを指して加薬、加薬味、薬味と呼ばれるようになったようです。

日本における最初の薬味はショウガだったのです。

しょうが

しょうが

 

ショウガを生でかじるのが好きな日本人

ショウガは世界で使われるもっともポピュラーなスパイスの1つですが、日本人は他の国の人々のようにショウガをすり潰したり、パウダーにせずとも、野菜のように輪切り、千切り、またはそのままの形で食してきました

特に、新ショウガは生で食する事を好みます。例えば、お寿司に付いてくる「がり」は、新ショウガを細かく輪切りにしたものを甘酢に漬けたものです。口に含むと魚の臭みを消してくれます。生魚は体を冷やしますが、ショウガには身体を温める成分が含有されています。またショウガの殺菌作用により、食中毒を防ぎます。

また、根ショウガを細かく切り刻んで梅酢につけたものは紅ショウガで、たこ焼きやお好み焼きには欠かせない材料ですし、博多ラーメン、牛丼などの具材の1つになっています。

焼き魚のあしらいに使われる真っ赤な矢ショウガ「はじかみ」も、ショウガの新芽を茹でて甘酢に漬けたものです。

また、もっと大きめの茎の付いた新ショウガ(葉ショウガ)を、そのままコップなどに注いだ甘酢の中に漬けたものをがりがりとかじったり、ただの生の葉ショウガに味噌をつけて食べるのが一番おいしいという人さえいます。

こうしてみると、インドから中国、中国から日本に渡来したショウガですが、日本人は独自のショウガ文化を切り開いていったと言えます。ショウガを薬としてではなく、野菜として生のままガリガリとかじるのが好きな人種は他では見うけられません。
ショウガは生で食べた方が免疫力がアップする事がわかっていますから、日本人の好きな生をかじる食べ方は、薬効成分の面からみても理に適っているのです。

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