Lesson8-1 食用以外のスパイス活用法・アロマテラピー

精油成分が大変有効なスパイス類

スパイスの中でも特に香りが強いものは、お料理のみならず人々の健康にも役立っています。特に、アロマテラピーの世界ではスパイス類の精油が欠かせない存在です。

Lesson8では、キッチンスパイスではない、アロマの面からスパイスを学んでいきましょう。

 

アロマテラピーとは?

精油の写真

アロマテラピーは日本語に訳すと、「芳香療法」となります。精油(植物からとれる揮発性の芳香のある脂溶性物質)を用いた植物療法の1つです。

アロマテラピーという言葉自体はフランス語で20世紀になって作られた言葉ですが、古代から植物の香りを使った療法は人々の心と体を癒し、健康を維持増進させるものとしてポピュラーなものでした。

例えば、クレオパトラ薔薇の花を入浴や香水に使ったとされていますし、パキスタンのタクシラ博物館には5000年前のテラコッタ製の精油を取り出すための蒸留器が展示されています。

 

精油は取扱いに注意が必要

精油は植物から抽出した天然の成分ですが、植物も身を守るための様々な成分を持ち合わせています。それらからから取り出し非常に凝縮された成分ですので、刺激の強いものや、毒性を示すものもあるので、取扱いには十分注意が必要です。

スパイス&ハーブコンサルタントとして、人に教えたり指導する場合は、この点をしっかり押さえておきましょう。

 精油の注意

  • 持病のある方や以前大きなけがや病気をしたことのある方は医師の相談を受けましょう。
  • 3歳未満の子供や妊娠中の方は使用を避けて下さい。
  • 精油を原液のまま皮膚へ直接塗布する事は厳禁です。
  • ベースオイルで希釈しパッチテストを実施して下さい。
  • 精油の内服は厳禁です。
  • 精油は冷暗所に保管して下さい。

 

アロマテラピーに役立つスパイス類

Antonova Ganna/Shutterstock.com

Antonova Ganna/Shutterstock.com

香りのあるスパイス類は殆どがアロマテラピーで利用されていると言っても過言ではなく、ここに抜粋したものは、その中のほんの一部分に過ぎません。ここでしっかりと基本を押さえたら、さらに興味のある方はアロマテラピーの本なども合わせて確認してみましょう。

メリットばかりに目がいきがちですが、スパイスの効能や働きと合わせて注意点もしっかりと押さえましょう。小さいお子様や妊娠中の方は、使い方により一層の注意が必要となります。

クローブ
学名:Eugenia caryophyllata

  • 働き・・・殺菌 鎮痛 催淫
  • 注意点・・・まれに皮膚刺激あり。高濃度での使用は頭痛などを引き起こすので低濃度で使用する事。生理中、妊娠中、授乳中には使わない。
シナモン
学名:Cinnamomum zeylanicum

  • 働き・・・駆風 殺菌収斂 通経 催淫
  • 注意点・・・肌刺激が強いので外用には適さない。葉よりも樹皮精油が強力だが光毒性がある。妊婦の使用は厳禁。
マジョラム スイート
学名:Origanum majorana

  • 働き・・・強壮 去痰駆風 抗菌血圧降下 鎮痙 鎮痛 抗ウィルス他
  • 注意点・・・催眠作用があるので車の運転や仕事の前には使用しないこと。制淫作用があります。通経作用があるので妊娠中は使用しない。
ローズマリー
学名:Rosemarinus officinalis

  • 働き・・・強壮 鎮痙 駆風 健胃消化促進鎮痛 通経 発汗 利尿他
  • 注意点・・・3歳以下の子供に利用しないこと。癲癇症、高血圧、妊娠中には使用しないこと。
ジンジャー
学名:Zingiber officinale

  • 働き・・・鎮静食欲増進 消毒作用
  • 注意点・・・3歳以下の子供に使用しないこと。低濃度(1%以下)で使用すること。まれに肌刺激がある。光毒性があるので外用に注意。
アニス
学名:Pimpinella anisum

  • 働き・・・ホルモン調整通経 催淫強心 去痰 駆風
  • 注意点・・・強力な精油なので香りだけでも幻覚を引き起こすことがある。皮膚感作作用があるので濃度に注意。乳幼児、癲癇、妊娠中は厳禁。
コリアンダー
学名:Coriandrum sativum

  • 働き・・・駆風 鎮痙鎮痛
  • 注意点・・・大量に使用すると麻酔のような作用がある。皮膚刺激もあるので濃度に注意。
セージ
学名:Salvia officinalis

  • 働き・・・ホルモン調整通経 殺菌血圧上昇 抗真菌 抗ウィルス他
  • 注意点・・・神経毒性や強い通経作用がある。妊娠中、授乳中は使用しない。癲癇症、高血圧の人も使用厳禁。
ブラックペパー
学名:Piper nigrum

  • 働き・・・強壮 駆風解熱 健胃消化促進 鎮痙 鎮痛
  • 注意点・・・まれに肌刺激がある。大量に使うと皮膚と腎臓に刺激することがある。軽い光感作もあるので外用には注意。

 

■Lesson8-1 まとめ■

  • アロマテラピーとは「芳香療法」という意味で、精油(植物からとれる揮発性の芳香のある脂溶性物質)を用いた植物療法の1つである。
  • スパイスの中でも特に香りが強いものは、お料理のみならず人々の健康にも役立ち、アロマテラピーの世界ではスパイス類の精油が欠かせない存在である。
  • 精油は植物から抽出した天然の成分だが、植物も身を守るための様々な成分を持ち合わせており、それらの成分が非常に凝縮されたもののため、刺激の強いものや、毒性を示すものもある。取扱いには十分注意が必要である。
  • ここで取り上げた9つのスパイスは、日常的に用いることが多いものなので効能と合わせて注意点も覚えておくとよい。