スパイスブックとして日本で市販されている本は、料理に関してのものが殆どですが、中世ヨーロッパのスパイスブックは料理本の他に、インテリア、石鹸、防臭防虫、コスメティック、お酒、魔除けなど様々な用途のスパイスブックが売られていました。
Lesson9では、食用だけではない生活の中のスパイス活用法をご紹介します。スパイスの香り、効能を利用したクラフトをマスターし、スパイス&ハーブコンサルタントして普段の生活のなかでスパイスを楽しみましょう。
芳香剤(ポプリ)
スパイスを使った芳香剤というと、ポプリが一番先に思い浮かびます。
もともと「ポプリ」はフランス語で古いポットと言う意味で、昔は花や葉を液体に漬けて瓶に保存したことに由来します。香りを長く保存するための製法でしたが、作り方が難しい上に見た目も良くないので、現代では水を使わないポプリの作り方が主流になりました。
料理用スパイスのポプリの作り方
材料
- スイートマージョラム 2カップ
- レモンタイムの花 1/2カップ
- バジル 1/2カップ
- ベイリーフ 20枚
- オレンジの皮 大匙2
- カルダモン 20個
- スターアニス 20個
- ジュニパーベリー 20個
- クローブ 大匙2
- シナモンスティック 2本
作り方
香りを出すために半分は潰して使いましょう。残り半分は質感を出すためにそのまま使います。
ポマンダー
ポマンダーとは本来は蓋付きの容器のところどころに穴が開いていて中に詰めた香りが漂ってくるものを指します。オレンジやレモン、リンゴなどにクローブをさしこんだものをフルーツポマンダーと言い、かつてヨーロッパでは魔除けのお守りとして各家庭で作られていました。
欧米ではクリスマスや新年のシーズンを迎えると、プレゼント用に作ったハンドメイドのフルーツポマンダーが行き交います。手作りのポマンダーは幸福を呼ぶと言われており、フルーツで作ったものは香りが長続きするので、タンスの虫除け、ロッカーや車内の芳香、クリスマスの飾りなど、現代でも様々な用途に用いられています。
フルーツポマンダーの作り方
- 皮の薄いオレンジ
- クローブ
- ポマンダースパイスミックス(ニオイアヤメ、オールスパイス、シナモンなどでも手作り可)
- リボン
作り方
- 皮の薄いオレンジを選び、皮に直角に交差するようぐるりと2本、包丁で切れ目をつけます。この切れ目に沿ってリボンをかけ、リボンの端は後でぶら下げる様に長くしておきます。
- 太めの針でクローブを差し込む穴を開けます。
- クローブ同士がくっつかないように均等に挿していき、挿し終わったらニオイアヤメの粉とオールスパイス、またはシナモンの粉末のどちらかを等量に混ぜた物の上でオレンジを転がします。
- 粉を全体にまぶしたらティッシュペーパーに包んで2週間ほどおいておき、完全に乾くのを待って完成です。形は小さくなりますが、1~2年は香り続けます。
この作り方は基本となりますが、デザインはあなたの発想で自由なフルーツポマンダーを作る事が出来ます。
キャンドル
スパイスを使ったキャンドルは、アロマキャンドルの中の1つです。スパイスの精油をキャンドル基材に混ぜ込んで作ります。アロマテラピーの芳香浴やポプリと同じように、火を灯した時に立ち込める芳香を楽しみます。
手持ちのキャンドルにシナモンスティックをまくだけで完成するスパイスキャンドルなら、思いついた時にすぐ作る事ができます。
また流行のジャーを使用したスパイスキャンドルも簡単に作れます。水に浮かべるタイプのキャンドルもオシャレですし、アロマキャンドルはバスタイムにも楽しむことができます。
■Lesson9-1 まとめ■
- 日本におけるスパイスは料理に用いることが中心だが、中世ヨーロッパではスパイスは料理本の他に、インテリア、石鹸、防臭防虫、コスメティック、お酒、魔除けなど様々な用途のために用いられていた。
- ポプリはフランス語で古いポットと言う意味で、昔は花や葉を液体に漬けて瓶に保存したことに由来する。現代では水を使わないポプリの作り方が主流となっている。
- ポマンダーとは芳香の蓋付きの容器をさし、オレンジやレモン、リンゴなどにクローブをさしこんだものをフルーツポマンダーと言う。
- ポマンダーはかつては魔除けのお守りとして作られていたが、現代でも芳香や虫除けとして遣われている。簡単に手作りでき、デザインで遊ぶこともできる。
- スパイスを使ったキャンドルは、アロマキャンドルの中の1つで、スパイスの精油をキャンドル基材に混ぜ込んる。アロマテラピーの芳香浴やポプリと同じように、火を灯した時に立ち込める芳香を楽しめる。