収穫されたスパイスは用途に合わせて粉砕、殺菌などの工程を経て製品となり、私たちの手元に届きます。スパイス選びには、スパイスの形状による保存方法の違いや、製造過程を把握しておくことも大切です。
スパイスの製造方法
殆どのスパイスはまず天日乾燥されて水分を10%前後にまで下げられます。これによりある程度長期間の保管や輸送が可能となります。
シナモンの製造方法
シナモンの製造方法を見ていきましょう。収穫、乾燥、製品化という基本の流れは、どのスパイスでも共通です。この工程の中に粉砕、殺菌などが入ります。
①シナモンは樹皮なので、樹の皮を削り取ります。
②はぎ取った皮は乾燥作業を行います。この工程で水分量を10%以下にします。
③十分な乾燥の後、このようにシナモンスティックとして私達の元に届きます。
シナモンの種類
シナモンには幾つかの種類があります。上画像でも形状が異なるのがお分かりいただけるでしょう。日本で馴染みがあるのは、主にスリランカ産の「セイロンシナモン」と 東南アジア産が中心の「カシア」です。木の種類が異なり、また産地により製法も異なります。
この二つは形状が異なります。シナモンの桂皮スティックはだいたい約2cmほどで幾重にも薄い樹皮が巻いています。(画像右)カシアもロール状になっていますが、1枚1枚の層はかなり厚く重なる枚数もシナモンに比べて少ないのが特徴です。(画像左側)
スリランカ産セイロンシナモンは樹皮が薄く、上品で繊細な甘い香りがあります。 カシアは、コルク層を残したまま幹の樹皮を乾燥するため肉厚になり、濃厚で甘い香りが特徴です。
スパイス保存のポイント
ポイント①酸化を防ぐ
スパイスの多くは乾燥品ですので、急激に劣化する事はなく消費期限も2年、3年と長いものが殆どです。
しかし、油分の多いポピーシードなどのスパイス類は、酸化しやすい傾向にあります。製品を密封し外気を遮断することで、酸化を防ぐことが大切です。
ポイント②長期保存ならばホールのままで
スパイスの形状によっても賞味期限は変わってきます。パウダーになっているものは通常未開封で2年、ホールは3年程度が基本的な期限となっています。
フリーズドライのパセリやカットタイプのハーブは長い間置いておくと香りや色が飛ぶことがあります。
ポイント③虫の発生に注意
ごまなどのスパイス類には虫が付きやすく、封をしてあるものでも袋の中で孵化してしまう危険性があります。七味唐辛子なども十分気を付けて下さい。
ポイント④高温多湿を防ぐ
湿気を防いで長期保存をするためには冷凍庫保存が望ましいですが、毎日使うスパイス類を冷蔵庫に保存すると、出し入れの際に容器が結露しスパイスが湿気を吸ってしまいます。そのため、台所の中でも①湿気が少なく②熱のこもらない③直射日光をさけた場所が最適です。
スパイス瓶に入らないストック分に関しては、乾燥剤を入れ冷暗所に保存する事をおすすめします。大量保存の場合は、スパイスに付いた虫が孵化しないためにも真空パックにする真空吸引器を利用するのが一番です。
■Lesson10-2 まとめ■
- 殆どのスパイスはまず天日乾燥されて水分を10%前後にまで下げられることで、長期間の保管や輸送が可能となる。
- シナモンには幾つか種類があるが、日本で馴染みがあるのはスリランカ産の「セイロンシナモン」と 東南アジア産が中心の「カシア」である。その形状や味にも違いがある。
- スパイス保存のポイントは、①酸化を防ぐこと②長期保存はホールのままで行うこと③虫の発生に注意すること④高温多湿を防ぐことである。