ここまで、スパイスを巡る様々な古代文献や伝承、歴史を学んできました。世界史で学ぶ様々な出来事の背景には、スパイスの影があったことがわかります。
それでは時間を今に近づけ、現代のスパイス事情を学んでいきましょう。
現代の各国のスパイス事情①輸出量と輸入量
現在、世界で最もスパイスの輸入量が多い国はアメリカで、次いでドイツ、日本、サウジアラビアと続いています。
一方、世界で最もスパイスの輸出量の多い国はインドで、ナツメグ、ペパー、カルダモン、チリ、ジンジャー、ターメリックやクミンなどのシード類やカレーパウダーを多量に輸出しています。
続いて、中国のターメリックやペパー、ベトナムのペパーと続きます。
好まれるスパイスも国によって様々で、中東や北アフリカなどではカルダモン、インドネシアではクローブ、西ヨーロッパやアメリカではカシア、シナモン、ナツメグ、メースなどの需要が目立ち、ロシアや東ヨーロッパではオールスパイスが珍重されています。
世界中どこの国でも需要が飛びぬけて多いのは、ペパーで、次に多いのはパプリカ、チリなど唐辛子類です。
昔から世界三大スパイスと呼ばれるのは、サフラン、カルダモン、バニラですが、今日でも高価なスパイスとして君臨しています。
世界のスパイスの品目別輸出量ランキング
品目 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 |
胡椒 | ベトナム | インド | 中国 | インドネシア |
ターメリック | インド | 中国 | ミャンマー | ナイジェリア |
ナツメグ | グアテマラ | インド | ネパール | ブータン |
世界のスパイス輸出量ランキング2010
国名 | 占有率(%) | 輸出額(million us$) |
インド | 15.5 | 926.9 |
中国 | 12.9 | 771.1 |
ベトナム | 8.2 | 492.4 |
インドネシア | 7.3 | 435.9 |
イラン | 5.7 | 341.8 |
グアテマラ | 5.2 | 310.9 |
オランダ | 4.0 | 241.7 |
世界のスパイス輸入量ランキング2010
国名 | 占有率(%) | 輸入額(million us$) |
アメリカ | 14.6 | 843.1 |
ドイツ | 6.5 | 377.2 |
日本 | 4.8 | 275.8 |
サウジアラビア | 4.7 | 270.4 |
UAE | 4.2 | 244.7 |
マレーシア | 4.2 | 243.9 |
オランダ | 4.1 | 235.4 |
現代の各国のスパイス事情②新しいスパイスの形「オレオレジン」
今日では、スパイスをそのままの形で輸出せずに精油やオレオレジン(含油樹脂)を抽出し、販売する国も多くなってきました。
これらの抽出物は細菌類の汚染を受けにくく、品質保持や加工もしやすいので、市場が拡大してきています。
■Lesson1-7 まとめ■
- 世界で最もスパイスの輸入量が多い国はアメリカで、次いでドイツ、日本、サウジアラビアである。
- 世界で最もスパイスの輸出量の多い国はインドで、ナツメグ、ペパー、カルダモン、チリ、ジンジャー、ターメリックやクミンなどのシード類やカレーパウダーを多量に輸出している。
- 国により好まれるスパイスは異なるが、世界中どこの国でも需要が飛びぬけて多いのは、ペパーで、次に多いのはパプリカ、チリなど唐辛子類である。
- 世界三大スパイスと呼ばれるのは、サフラン、カルダモン、バニラで、今日でも高価なスパイスとして君臨している。