Lesson11-5 スパイスプロフィール カ行③

  • クコ
  • クチナシ
  • クミン

 

⑩クコ

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  • [英名] Chinese desert-thorn
  • [和漢名] スミスグリ クコナンバン ゴジベリークコシ(枸杞子)
  • [学名] Lycium chinense
  • [科名]ナス科
  • [原産地]中国
  • [向いている料理]若葉はおひたしに。薬膳料理。お菓子のトッピングなど。
  • [薬効]動脈硬化防止 血圧降下 冷えの解消 去痰、鎮静 滋養強壮 血圧降下 視力回復
    ※血圧降下薬、血糖降下薬との併用はしないこと。

 

杏仁豆腐のトッピングで馴染みのあるスパイス

ナス科の落葉小低木のクコは生命力が大変強く、山野や土手、道端に自生している。日本では平安時代から強壮薬として知られていた。現代では杏仁豆腐のトッピングとしても広く知られている。

中国では薬膳料理には欠かせない材料で、実の他に葉と根もそれぞれ漢方薬とされている。昔からクコ酒は不老長寿の妙薬といわれ愛飲されてきた。

スーパーフードに認定されたスパイス

海外ではゴジベリーと呼ばれ、栄養価の高さと低カロリーであることからスーパーフードとされている。ビタミンB群、アミノ酸、リノレン酸、各種ミネラル、食物繊維のほか、βカロチン、ベタインなどが含まれる。

スパイス豆知識・クコ酒で健康増進!

クコの実200g、氷砂糖150g、ホワイトリカーを果実酒を作る要領で密閉容器に入れて、冷暗所に2~3か月置いてから布で漉す。

こうして作ったクコ酒を夕食前か寝る前に毎日少しずつ飲んでいると、ストレスや疲れが取り除かれて安眠効果があるとされる。また腎臓や肝臓の働きや血行も良くなり高血圧、低血圧のどちらにも効果的である。動脈硬化や糖尿病の予防にも活用できる。

 

⑪クチナシ

Praisaeng/Shutterstock.com

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  • [英名]Gardenia
  • [和漢名]山梔子
  • [学名]Gardenia jasminoides Ellis
  • [科名]アカネ科
  • [原産地]日本 中国
  • [向いている料理]きんとん ゼリー キャンディ ラーメン たくあんの色付けなど
  • [薬効]打ち身 捻挫 消炎 利尿 止血 気管支炎 扁桃炎 動悸 痛風 頭痛

古くから色付けとして利用されてきた果実

日本と中国が原産地で温暖な地の山中に自生している。果実が熟しても口を開かないため「クチナシ」と呼ばれるようになった。食品の色付けだけでなく、布や工芸用の染料として使われてきたので梔子色という伝統色もある

梔子の花には強い芳香成分があるが、果実にはほとんど含まれていない。学名の「ガーデニア・ジャスミノイデス」は、この花の香りがジャスミンに似ている所から名付けられた。

スパイスには果実を使う

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スパイスとしての使用部位は花ではなく果実である。花は精油として香水などに使われる。

クチナシの色素成分はサフランと同じ水溶性のカロチン系色素α-クロチンで、切れ目の入った果実を水に浸すか煎じるなどして、濃い黄色になった液を使う。お節料理のきんとんやたくあんの鮮やかな黄色の色付けに使われる。

スパイス豆知識・黄色い色付けに使用!

和菓子の色づけや栗きんとん、栗ごはんの栗を鮮やかな色にするためにも使用される。

 

⑫クミン

SMDSS/Shutterstock.com

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  • [英名]Cumin
  • [和漢名]馬芹(バキン マキン)
  • [学名]Cuminum cyminum L.
  • [科名]セリ科
  • [原産地]地中海沿岸 エジプト
  • [向いている料理]カレーパウダーやチリパウダーの主要成分。単独で使わず2.3種類をブレンドして使う事。ソーセージやミートソースなどのひき肉料理に合う。チリコンカン、チャツネ、ピクルスの風味づけ。精油はリキュールの香りづけに使われる。
  • [薬効]消化促進 下痢 腹痛 胃痛 解毒 駆風

紀元前エジプトに存在したスパイス

同じセリ科のアニスと共にもっとも古くから栽培されてきたスパイスで、紀元前16世紀に書かれた古代エジプトの医学書「エーベルスパピルス」にもすでに記載されている。
使用部位は種子だが、キャラウェイシードによく似ているのでしばしば混同される。使い方も共通する所が多いが、クミンの方が強い芳香をもち、幾分細長い。

最大輸出国はイランだが、インド、ヨーロッパでも広く栽培されており、産地、品種により香りや品質に大きな違いがある。

入れすぎに注意

クミンシードを炒めるとカレー粉のような匂いがし、東南アジアやインド料理でよく使われるが、少量でも他のスパイスを消してしまうほど個性が強いので使用する際には注意が必要

スパイス豆知識・中世のクミンのおまじない!

恋人の心変わりを防ぐという迷信が広く信じられ、騎士が戦闘に向かっている間に恋人が心変わりしないようにとクミンシードを身に着けたり、結婚式の時にシードをポケットに忍ばせたりする習慣が生まれた。
これは人間だけでなく動物にも応用され家禽が小屋から迷い出るのを防ぐおまじないにも使われたという。