Lesson11-7 スパイスプロフィール サ行①

  • サフラン
  • 山椒
  • 紫蘇

 

⑮サフラン

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  • [英名]Saffron
  • [和漢名]
  • [学名]Crocus sativus L.
  • [科名]アヤメ科
  • [原産地]南ヨーロッパ アジア
  • [向いている料理]スペインのパエリアやブイヤベースなど、黄色に着色した料理。サフランライスなど。また独特な芳香は魚介類によくあう。
  • [薬効]鎮痛 鎮痙 発汗 風邪薬 健胃 婦人病(生理痛 生理不順)

 

最も高値で取引されるスパイス

サフランは観賞用として親しまれているクロッカスの仲間で、秋に薄紫色の花を付ける。 この花の上半分、柱頭部、めしべを乾燥したものがスパイスとしてのサフランである。1個の花から採れるサフランはごくわずかで、乾燥したサフラン1キロは16万個の花を必要とする。

そのためサフランは世界で最も高価なスパイスである。中でもスペインのラマンチャ産が最高級とされている。

ほんの少量でも鮮黄色に

サフランは独特な芳香と料理を鮮やかな黄色に着色するので西洋では着色スパイスとして活用されてきた。サフランは水に浸すと水溶性の色素成分クロシンが溶けて黄金色となるが、クロシンの着色力は極めて高いので、ほんの僅かなサフランで十分鮮やかな黄色を得られる。

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スパイス豆知識・サフランの粗悪品は極刑に!

14世紀、ドイツのニュルンベルグではサフランの粗悪品を防止するために検査機関が組織化され、すべての業者は検査を受けねばならなかった。

その刑は大変厳しいもので、15世紀には粗悪品を扱ったフィンデッカーと言う商人が逮捕され粗悪品と一緒に火刑に処せられた。その10年後もエルス・フラグネリンという男が同様の不正行為でニュルンベルグで生き埋めにされたという。
その刑の重さから、サフランの品質を維持する事が大変重要視されており、貴重だったこともうかがえる。

 

⑯山椒

matin/Shutterstock.com

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  • [英名]Japanese pepper
  • [和漢名]山椒 ハジカミ
  • [学名]Xanthoxylum pipentum
  • [科名]ミカン科
  • [原産地]日本 中国
  • [向いている料理]ウナギのかば焼きのたれや木の芽あえ、木の芽焼き、味噌田楽、吸い物、煮物のあしらい、刺身のつま、つくだ煮、薬味、青魚を煮る時の臭みけしに。
  • [薬効] 辛味成分シトロネラールや香り成分サンショールが脳を刺激して内臓の働きを良くするため胃腸を元気にする。医薬品として芳香性健胃薬、消炎、利尿など幅広く使用されている。虫刺され 駆虫 皮膚のかぶれなどにも有効。

日本古来の爽やかな香りと辛味を持つスパイス

山椒は日本や中国では重視されているが、西洋ではあまり知られていない。

日本での利用は古く青森県の泥炭層遺跡から山椒を入れた土器が発見されており、日本最古の香辛料とされている。柚子と並ぶ日本の二大香味料で料理に彩と香りを添え、目と舌で日本料理を楽しませる。

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木の芽は叩いて使う

木の芽は使う前に細胞内にある芳香成分を放出させるため、手のひらで叩いて細胞組織を壊してから使うと山椒の鋭い香りが溢れる

若い実は青山椒と言って葉と一緒に佃煮にしたものが京都の名物として知られている。その香りも料理に彩りを添えるが、鰻の蒲焼に粉山椒が付いてくるのは、夏場の弱った体が脂ののった鰻を食べて消化不良を起こさないためである。辛味成分シトロネラールや香り成分サンショールが脳を刺激し内臓を元気にする働きがある。

また、中国の花椒(ホアジャオ)とは原種が異なる。

スパイス豆知識・実の付く雌株、花咲く雄株!

山椒は、実が付くのが雌株で、雌株に付く未熟な実を実山椒(青山椒)花が咲くのは雄株で花ざんしょうとして煮物や佃煮にする。

 

⑰紫蘇

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  • [英名]Perilla
  • [和漢名]紫蘇
  • [学名]Perilla frutescens Britton ver.acuta Kudo
  • [科名]シソ科
  • [原産地]ヒマラヤ ビルマ 中国中南部地域
  • [向いている料理]てんぷらや刺身のつま。薬味、あしらい。赤紫蘇は漬物、梅干しなどの色付けに。赤ジソの葉を煮出して砂糖とクエン酸を混ぜたシロップは夏の疲労回復ジュースに。
  • [薬効]香りの成分に大変強い防腐殺菌作用があり古くからカニや魚の解毒剤として利用。感冒 喘息 胸のつかえ 嘔吐 食欲不振 胸のつかえ 嘔吐 じんましん

芽、葉、実すべてを利用、日本料理に不可欠

紫蘇は日本人にとって親しみのあるスパイスで、古来からいろいろな料理に用いられてきた。

原産地はヒマラヤ・ミャンマーあたりで、紫色の色素があるものとないもの、ちりめんじわのあるもの、ないものなどいくつかの品種がある。一般に知られているのはちりめんじわのある赤しそと、緑色でちぢみのない青じそである。

 薬用は赤紫蘇

薬用には赤ジソのちりめんじそが使われる。葉の精油はペリラアルデヒド、ピネン、リモネン、ペリラケトンなどが含まれ大変強い抗菌、防腐作用があり日本でも数多くの民間療法に使われている。

葉ジソ、芽ジソ、穂ジソ(紫蘇の実)、花穂ジソなどの部位すべてが利用できる万能スパイスであり、漢方で紫蘇の葉を蘇葉、種を蘇子といい、精神を安定させ、利尿、鎮咳に効果があると言われている。

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スパイス豆知識・紫蘇の由来!

昔、中国のある名医がカニを食べて中毒になった少年を薬草で治したという逸話がある。その葉の色が紫で、中毒死から蘇らせたことから「紫蘇」と名付けられたと言われている。