- シナモン
- ジュニパーベリー
- ジンジャー
⑱シナモン
- [英名]Cinnamon
- [和漢名]肉桂 にっき 桂皮
- [学名]Cinnamomun butmannii Blume/Cinnamomun Zeylanicum Blume/Cinnamomun aromaticum Nees
- [科名]クスノキ科
- [原産地]スリランカ 南インド
- [向いている料理]中国の五香粉やカレーパウダーに配合。臭みの強い肉料理やアップルパイ、シナモントースト、ケーキ チョコレートのデザートなど甘い香りに特徴のある料理に用いるとより甘味感を高める。
- [薬効]風邪 頭痛 腹痛 下痢 健胃 殺菌 消化促進 抗真菌作用 解熱 発汗 去痰
シナモン基本ステイタス
旧約聖書や古代ローマの記録にもしばしば登場するスパイス。古代から深い愛を示すものといわれ王侯貴族の最高の贈り物とされてきた。15~16世紀の大航海時代に探検家たちが探し求めたスパイスの1つ。
日本への伝来も古く、シルクロードを渡って乾燥したシナモンが奈良の正倉院にも献納されている。シナモンの仲間であるカシアは中国でも日本でも育ち、ニッキやニッケと呼ばれ、京都の八つ橋をはじめ各地の和菓子にも使われる日本人に持馴染みの深いスパイスである。
シナモンの種類
シナモンの植物学上の変種は非常に多いが、代表的な栽培品種は①セイロンシナモン②チャイナシナモン③バタビアシナモン④サイゴンシナモン⑤シナモン⑥日本シナモンの6種がある。
日本に輸入されるものの約70%は②チャイナシナモンであり、樹皮をはがし、完全に乾いてから巻いて癖をつけるので丸まった形に出来上がるが、丸くないドライもある。
最初に採ったものは硬くて質が劣り、幹の中心から出る細い枝の物が最上品とされる。最大生産国はスリランカで、このスリランカ産のシナモンが最上級品とされる。
優しくほのかな甘みがあってデリケートながらウッディな香りがあり、辛味もあるが後味はすっきりとしている。渋味や収斂味のないものほど評価が高い。
スパイス豆知識・暴君ネロの愛の証!
古代から愛をかきたて、深い愛情を示すものとされてきたシナモンには、愛にまつわる逸話が多く残っている。ローマの暴君ネロは、最愛の妻の死を心から悼み、愛の証として、また最後の死出の旅の贈り物として、ローマの1年分のシナモンを全部燃やして弔ったと言われている。
⑲ジュニパーベリー
- [英名]Juniper berry
- [和漢名]杜松実(トショウジツ)ねず ねずみさし
- [学名]Juniperus communis L.
- [科名]ヒノキ科
- [原産地]ギリシア
- [向いている料理]獣肉の臭みとりや香りづけに使われる。オールスパイスやペパーと混ぜて牛肉料理に。酢との相性が良いので酢漬けやドレッシングなどにも。ジャガイモやニンジンなどの野菜料理にも応用できるが量は少なめに使う。果実の砂糖煮なども。
- [薬効]利尿、抗炎症。妊娠中や腎臓疾患のある方は使用しない。香り高い精油は殺虫剤や香水にも調合される。
ジンやスピリッツに使われる針葉樹のスパイス
北半球諸国で広く分布するヒノキ科常緑樹。温帯で野生で育つ数少ないスパイスの1つである。濃紺から濃紫色の丸い実には強い甘い香りと苦みがあり、暖かい所で育ったものほど強い香りがする。
アルコールのジンの名は、オランダ語でジュニパーを表すジェネバからきており、ブランデーやワインの香りづけにも使われる。
日本では杜松(ねず)の木として知られ、料理に使う事があまりないスパイスだが、和漢薬として昔から用いられてきたものである。果実から出た果実油を内服すると催淫、強精効果があるとされている。また、果実と根は、紫や茶色の染料にも使われる。
獣肉の臭みとりに使用されるジュニパー
ジュニパーは北欧の臭みの強い獣肉の料理に使われる。スカンジナビアではローストポークの赤ワイン漬けやドイツのザワークラフトなど幅広く使われている。マジョラム、ローズマリー、オールスパイスなどと共にピクリングスパイスやバーベキュースパイスにも調合され、ザワークラウトにはジュニパーベリーとキャラウェイを使用することが多い。
⑳ジンジャー
- [英名]Ginger
- [和漢名]生姜(ショウガ) 生薑
- [学名]Zingiber officinale Roscoe
- [科名]ショウガ科
- [原産地]熱帯アジア インド
- [向いている料理] 煮魚、ショウガ焼き、中国風スープ、ドレッシング、クッキー、スパイスティ、漬物他。
- [薬効] 食欲増進 健胃 整腸 血行促進 頭痛 咳止め チフス菌やコレラ菌の殺菌作用
※日本では胃液分泌、発汗作用のある生薬として昔から生姜(生)、乾姜(乾燥)の名で知られている。
全世界が使う用途に富んだスパイス
甘く清々しい香りと爽やかな辛味があり、和洋中エスニックと幅広く使われているスパイス。辛味の成分はジンゲロンとショウガオール、香りの成分はジンギベレン、シトラールである。
精油や辛味成分に高い効能
ジンジャーの栄養価は低いが、その他の部分で薬効が高く、ショウガオールには健胃、発汗、解毒、保温作用があり風邪のひきはじめの呼吸器疾患、消化器疾患に有効で、ジンゲロンは整腸、下痢に効果がある。その他にも殺菌、食欲増進など効果は多岐に渡る。
使用部位は根茎を利用する。甘辛どちらの料理にも合うジンジャーは、中国料理ではガーリックと共に欠かせないスパイスの1つであり、アジア諸国では主に生を使うがヨーロッパではパウダーも多く使われる。
スパイス豆知識・くせの強い刺身には生姜!
刺身は普通わさびで食べるが、カツオや鯵のような癖の強い刺身には生姜を用いる。
わさびは瞬間的に味覚と臭覚を麻痺させることによって臭みを消しているが、癖の強い刺身をごまかすのは難しいため、ショウガの矯臭作用や持続する辛味成分の方がこのような魚には適している。