- スターアニス
- セイボリー
- セサミ
21・スターアニス
- [英名]Star anise
- [和漢名]八角(ハッカク) 大茴香(だいういきょう)
- [学名]Illicium verum Hooker
- [科名]モクレン科
- [原産地]中国西南部地方
- [向いている料理]五香粉に調合されている。豚角煮 卵煮 中華ちまき 鴨ロースト 内臓肉の臭みけし 煮込み料理 スープ 菓子
- [薬効]細菌抑制作用 風邪 咳止め 新陳代謝促進 健胃 消化不良 駆風 腹部膨満 嘔吐
中国料理の香りと言われる星形のスパイス
果実が八角形の星形をしている事から八角(はっかく)と言う別名があり、中国では大茴香(ダイウイキョウ)とよばれるが、茴香(ウイキョウ=フェンネル)やアニスとは別種である。
しばしば混同されるこの3つのスパイスの共通点は同じ芳香成分アネトールの甘い香りだが、スターアニスの方が香りが強いため、代用する際には指定量の3分の1ほどに減らすと良い。
フェンネルとアニスがセリ科の草なのに対し、スターアニスはモクレン科の常緑高木で、実だけでなく枝や葉からも香油が採れ食品、飲料、化粧品、線香の香りづけにされている。使用部位は果実で、原産地の中国が現在でも世界の総生産量の80%を占めており、古くから中国料理には欠かせないスパイスで五香粉の原料の1つである。
非常に似ているシキミの実に注意
日本に自生し仏前に飾られるシキミとは近縁種であり同じ形の実を付けるが、葉も実も有毒なため決して食してはならない。
スターアニスは、東洋では宗教儀式の線香の香料として現在も使われている。アネトールには去痰、駆風、抗けいれんの効果があり漢方では健胃薬に処方される。生産国では食後の消化促進や呼気を甘くするのに役立つとされ食後にホールのまま噛んで口臭防止にしている。
スパイス豆知識・スターアニスはタミフルの材料!?
インフルエンザの特効薬として一時話題となったスイスロシュ社の「タミフル」の成分である「オセルタミビル」は、スターアニスから採取されるシキミ酸を10回化学反応させて作られたものである。タミフルの発見により2009年中国では価格高騰の騒ぎとなったが、スターアニス自体にインフルエンザを治す力はない。
現在は日本の研究者による全合成が可能となっている。
22・セイボリー(サボリー・セボリー)
- [英名]Savory
- [和漢名]木立薄荷(キダチハッカ)
- [学名]Satureia hortensis L.
- [科名]シソ科
- [原産地]地中海沿岸
- [向いている料理]ミックススパイス、エルブドプロバンスの材料の1つ。肉料理 豆料理 卵料理 サラダ ソーセージ ミートパイ ミートソース スープ
- [薬効]消化 整腸 食欲促進 腹痛 呼吸障害 消毒 冷え性 虫刺され
古代は胡椒の代用品のスパイス
シソ科のハーブだが、独特の強い芳香(カルバクロール28-65%)とペッパーの様な辛味を持っており、香りは開花後よりも開花前のほうが良いという特徴がある。ドイツではペパーハーブと呼ばれている。
古代ローマではインドから胡椒が輸入されるまで辛味を付けるスパイスとして使われていた。
セボリーティーには食欲を増進させ消化を助ける効果があり、ヨーロッパでは古くから食用、薬用の両面で使われてきた歴史がある。民間薬として中毒症、リウマチ、痛風、ぜんそく、尿道結石などに有効として使用されている。
サマーとウインターの2種
花が終わり結実すると枯れてしまう1年草のサマーセボリーと、茎が木質化する多年草のウィンターセボリーが知られている。スパイスでは一般にサマーセボリーの方が評価が高いようだが、栽培するにはウィンターセボリーは年間を通して収穫できるので便利である。
風味はウィンターセボリーの方が強いのでサマーセボリーの半分の量に抑えて使うとよい。
スパイス豆知識・使い勝手のよいセボリー!
セボリーは豆料理によく使用されるスパイスで、パセリ感覚で使用できるが、風味が強いため量は控えめにするのがポイントである。フレッシュ、ドライどちらも使用できる。また、マヨネーズに胡椒の代わりとして使うこともでき、塩分を控える食事に向いている。また乳製品との相性もよく、チーズと混ぜても美味しくなる。
23・セサミ
- [英名]Sesame seed
- [和漢名]胡麻(ゴマ) 芝麻(ヂーマ)
- [学名]Sesamum indicum L.
- [科名]ゴマ科
- [原産地]東インド エジプト
- [向いている料理]和え物 揚げ物 ごま豆腐 ドレッシング 菓子 ソース
- [薬効]動脈硬化 ストレス 高血圧 貧血 整腸 便秘
滋養強壮効果の高い日本人好みのスパイス
ゴマはタンパク質20%、脂質52%、カルシウム、鉄、カロチン、ビタミンB1、B2が豊富な栄養価の高い食品で、中でも脂質はオレイン酸47%、リノール酸40%などの不飽和脂肪酸を多く含み、抗酸化、生活習慣病予防に効果がある。他にもゴマ特有のゴマリグナンやビタミンEなどの強力な抗酸化作用の働きも相まって、老化、ガン、動脈硬化などに効果的とされ日本でも人気のスパイスである。また肝機能を高めるセサミンも含有されている。
ごまは古くから油を採るために栽培されてきた植物だが、日本へは中国経由で渡来し奈良時代にはすでに貴重な作物となっていた。
スパイスとしては種子を使用し、果実は2~3㎝ほどの短円筒形で内部は4室に分かれていて多数の種子が入っている。熟すとぽんと音を立てて破裂し種子が飛び散ってしまう為収穫時期の見極めが重要。
ごまの特性を活かす
生のごまには風味はないが、炒る事によってナッツのような香ばしい香りと甘みが出る。この風味は日本料理、中国料理で特に好まれるが、ヨーロッパでも古くから食用、薬用の両面で使用されてきた歴史がある。
外皮の色は品種によって白、黒、金ごまなど様々でそれぞれしっかりとした特徴を持つ。白はゴマの中で油分の含有量が最も高く搾油に使用され、黒は芳香性に富み料理や薬用に、金はごまの中でもっとも芳香が強く生産量も少なく希少価値がある。
欧米では菓子やパンに使用されるので色味のない白ごま、日本では芳香の強さから黒ごま、金ごまが利用されることが多い。
スパイス豆知識・「開けゴマ!」はなぜゴマ?
「アリババと40人の盗賊」の中で宝物の詰まった洞窟の扉を開ける掛け声の「開けゴマ!」は、英語でもopen sesameと訳される。アラビア語でも「イフタフ(開け) ヤー(掛け声)シムシム(ゴマ)!」とやはりごまを用いた表現である。
これの由来については幾つかの説があるが、ゴマの果実はぽんと割れて種子が飛び出すため、「ぱかっと開け!ゴマの様に!」というニュアンスが込められているという説が有力である。