- タイム
- ターメリック
- タラゴン
26・タイム
- [英名]Thyme
- [和漢名]立麝香草(タチジャコウソウ)
- [学名]Thymus vulgaris L.
- [科名]シソ科
- [原産地]南ヨーロッパ 地中海沿岸
- [向いている料理]ブーケガルニの材料・・・肉類魚介類の臭み消しに。
ビーフシチュー ブイヤベース クラムチャウダー 野菜の煮込み クリーム煮 トマト煮 マリネ - [薬効] 健胃 風邪 咳止め 疲労回復 神経性の病気
ヨーロッパ料理に欠かせないスパイス
南ヨーロッパ一帯に広く自生するシソ科の多年草で、ヨーロッパ料理には不可欠の極めてヨーロッパ的なスパイスである。オリーブ油やビネガーに漬け込んだり、セージと同様、ひき肉を使った詰め物を作る際に用られることが多い。香りが強いため、卵や野菜料理には量を控えめに入れるとよい。
その他加工食品の分野でもタイムは不可欠のスパイスで、ウスターソース、ケチャップ、ハム、ソーセージ、ピクルス、ドレッシングなどに用いられている。
家庭でも幅広い料理に使えるタイムの魅力!
日本でも既によく知られているスパイスだが、使い方としては、ロースト系の料理や、スープ系の料理といった、長時間をかけて火を通す料理おすすめである。素材にかけたり、詰め込んで焼いたり、ブーケガルニとして他のハーブと一緒にスープの香り付けに使ったりするなど、普段の料理にも手軽に取り入れることができる。
肉や魚の臭みを消すために用いるのが基本で、香りを素材に付けることで風味や深みを料理に与える。万能な香辛料といえるタイムは特別食材を選ばないが、特に相性の良い食材は肉類。ソテーなどの焼いて仕上げる料理の場合は、タイムの香りを良く引き出すことができるホールでの使用がおすすめである。塩コショウにプラスしてタイムを振り掛けるだけでも風味豊かな美味しい料理となる。
極めて強力な殺菌効果
古代エジプト時代から防腐剤、保存剤としての強力な効き目が知られており、死体保存用に使われ、現在でも解剖標本や植物標本の保存用、紙の虫食い防止として使われている。
清々しい芳香と、苦味と辛味が混じったような微妙な味わいがある。香りの成分はフェノール類で主にチモール30-71%、カルバクロール2-15%。殺菌作用に富み、ヨーロッパでは古くから鎮咳薬として用いられ、冷ましたハーブティーはうがい薬として使用されてきた。
工業的には防かび剤の成分として利用されている。
スパイス豆知識・タイムは勇気の象徴!
学名Thymusは、ギリシア語のthymon(勇気)に由来し、多くの国でこのハーブは勇気の象徴とされている。古代ローマの兵士たちは、勇気を奮い立たせるためにこのハーブ湯に入った。中世ヨーロッパの貴婦人は、自分を慕ってくれる騎士が旅に出る時、はなむけとしてこのハーブの模様をを刺繍した布を贈ったとされている。
27・ターメリック
- [英名]Turmeric
- [和漢名]鬱金(ウコン)秋ウコン
- [学名]Curcuma longa L.
- [科名]ショウガ科
- [原産地]熱帯アジア インドシナ半島
- [向いている料理]カレーパウダーの材料 カレー ピクルス ピラフ リゾット マリネ
- [薬効]鎮痛 健胃 肝臓病 殺菌 糖尿病 息切れ 疼痛 血液浄化 解毒 胆石 カタル性黄疸 脂肪分解効果 切り傷 止血
最も有名なカレースパイス
その歴史は古く熱帯アジア原産のショウガ種で、着色料として使われ出したのは紀元前600年以上も前と言われている。
わずかに苦味があってやや土臭く、麝香のような芳香(ターメロン59%、β-ジンギベレン25%、フェランドレン、シネオール他)がある。使用部位は根茎で、生の根茎の中は鮮やかなオレンジ色だが乾燥によって黄金色に変化する。カレーに用いられるのが有名だが、風味付けに加えて着色の役割も大きく、カレーと相性のよいターメリックライスも有名である。
仕上げに使用するには適さず、必ず加熱し臭気を飛ばし、下ごしらえか調理中に使う事がポイントである。
肝臓の解毒能力で有名なウコン
日本ではウコンの名で知られており、ドリンクとして見かけることが多い。お酒の席とセットで認識されているが、それはターメリックの肝臓の解毒能力によるものである。
色素成分クルクミンには抗酸化作用、血液浄化作用、肝臓解毒能力の強化作用があるため、飲酒の前に飲むと有効とされている。外用でも美容効果に優れ、東南アジアでは美容としてにターメリックパウダーを顔に塗る女性も多い。
鮮やかな黄色い着色剤
風味づけより着色剤でカレーパウダーの材料として用いられていることは既に述べたが、その黄色い色には大きな意味がある。黄色はヒンズー教や仏教では神聖な色とされており、おめでたい儀式にはターメリックライスがふるまわれる他、魔除けの意味で身体に塗ったり、ターメリックで染めた黄色の布などで法衣を作ることもある。
別名インドのサフランと呼ばれ、高価なサフランの代用品としてもよく利用される。デンプンを多く含み、水溶性ではなく油かアルコールに溶ける。
スパイス豆知識・ターメリックは秋ウコン!
非常に混同されやすいが、秋ウコンと春ウコンは別種である。秋ウコンがターメリックで春ウコンがワイルドターメリック。和漢名はわが国では秋ウコンが鬱金、春ウコンが姜黄だが、中国では逆に表記されているので少々ややこしくなっている。
また、ウコンにはもう一つ紫ウコンと呼ばれるガジュツがある。
28・タラゴン
- [英名]Tarragon
- [和漢名]エストラゴン タラゴン
- [学名]Artemisia dracunculus L.
- [科名]キク科
- [原産地]南ロシア 西アジア 東ヨーロッパ
- [向いている料理]タラゴンビネガー タラゴンバター
タルタルソース エスカルゴ オムレツ ピクルス 魚や肉の臭みけし フィーヌゼルブの材料 - [薬効]消化促進 食欲増進 強壮 駆虫 リウマチ 関節痛 健胃 胸焼け 腎不全 生理不順
食通が好むマニアックなハーブ
日本ではあまり馴染みのないスパイスだが、フランスではエストラゴン(小さな竜)と言う名で呼ばれフランス料理によく使われるスパイスの1つ。エスカルゴ料理には欠かせないグルメのハーブである。
フレッシュでもドライでも両方使えるが、使いすぎると素材の持ち味を消してしまうので少量ずつ使う事がポイントである。マヨネーズやドレッシングにタラゴンを使うとグレードアップしたものに仕上がる他、ワインビネガーに漬けたりピクルスを作るとマイルドな風味になるため、実は家庭でも調整しやすいスパイスである。
フランス産とロシア産
タラゴンにはフランス産とロシア産がある。フランス産はアニスのような甘さとペッパーのような刺激をあわせ持った繊細な風味があり、ロシア産は栽培は容易だが風味がやや粗雑で芳香にも欠けるため、スパイスとして多く使われているフランス産である。
またフランス以外でも中近東で焼料理に使われている。
香りの成分は主成分のメチルシャビコール60-70%であり、フランス産により多く含まれている。他にもフェランドレン15-20%、オシメン、ミルセン、メトキシ桂皮アルデヒドなどの芳香成分が含有されている。
スパイス豆知識・タラゴンの由来はドラゴン!
タラゴンのと言う名は「小さいドラゴン」と言う意味のエストラゴン、ラテン語のドラクンクルス(dracunculus)からきている。葉がドラゴンの牙に似ている事や、根が蛇のような形をしている事から由来しているとされる。
日本ではあまり馴染みのないスパイスのため、料理に隠し味として使用すると質問されることもあるかもしれない。このような知識を交えながら話をすることで、おもてなしの演出にもなりみんなを楽しませることができる。