Lesson11-16 スパイスプロフィール ハ行②

  • パプリカ
  • フェンネル
  • フェヌグリーク

 

37・パプリカ

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  • [英名]paprika
  • [和漢名]甘唐辛子
  • [学名]Capsicum annuum L. Capsicum frutescens L.
  • [科名]ナス科
  • [原産地]南アメリカ
  • [向いている料理]チーズ 卵料理 シチュー グラタン 魚介鶏肉料理 ピラフ 煮込み ドレッシング
  • [薬効]風邪 ストレス 老化防止

 

辛くない唐辛子

パプリカは品種改良により作られた唐辛子の1種。16世紀頃はトルコペッパーと呼ばれていたが、最初にこの品種を作り出したハンガリーの言葉でピーマンを意味する「パプリカ」と呼ばれるようになり、以後辛くない赤唐辛子をパプリカと呼ぶようになった。ハンガリー産の特徴は、日本産の鷹の爪を大きくしたような果実で、色調は煉瓦色だが香りは良い。その品質の基準は色よりも香味が尊重されている。主にヨーロッパ諸国に輸出されている。

スペインで品種改良されたスペイン種もあり、こちらは果実は杏子大の球形でわずかに甘い芳香があり、色調が一番鮮やかで着色力も強いのが特徴。スペイン政府では色調に応じて1~6段階に等級づけをしている。

パプリカは香味の他に、料理を赤く染める着色性にも重点が置かれている。世界の市場ではすべて粉末状で交易されている。

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レモンより多いビタミンC

世界で最初にビタミンCが抽出されたのは実はパプリカからで、乾燥してもホールのままであればビタミンCは壊れることなく保存される。柑橘系よりも多くのビタミンCを含み、ビタミンEも多く脂肪の酸化を防ぐため、老化防止に役立つ女性にうれしい素材である。

スパイス豆知識・海老のグリル!

  • 殻つきの生の大海老 6匹
  • オリーブオイル小さじ2
  • ニンニク 1片 みじん切り
  • パプリカパウダー 小さじ1/2

あらかじめボウルに材料をすべて入れ、混ぜあわせてからフライパンで強火で炒める。パプリカの香りがエビの香ばしさと合わさり、またエビの赤と相まって美しい色となる。

 

38・フェンネル

kps123/Shutterstock.com

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  • [英名]Fennel
  • [和漢名] 茴香(ウイキョウ)
  • [学名]Foeniculum vulgare Miller
  • [科名]セリ科
  • [原産地]南ヨーロッパ 地中海地方
  • [向いている料理]中国の五香粉の材料 エルブドプロバンスの材料
    魚介のスープ ボルシチ ピクルス アップルパイ パン カレー 生の葉を用いて魚肉の臭いけし サバや鮭の料理 若葉をオリーブ油やビネガーに漬ける。
  • [薬効]利尿 消化促進 解毒 駆風 健胃 去痰 視力強化

 

生葉は魚との相性が抜群のスパイス

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地中海沿岸原産で自生するセリ科の多年草だが今日では世界中で栽培されている。外観は近縁種のディルと非常によく似ているが花期がやや遅い。スパイスとして使用するのは主に種子だがヨーロッパでは生の葉や茎も料理に使われる

この生の葉や茎は魚料理との相性がよく、欧米では「魚のハーブ」と呼び広く用いている。新鮮な茎の太い部分をそのままサラダにしたり茹でてセロリのように食すこともできる。
英名のフェンネルはフェネルとも読む。

 種子から根に至るまで食用にならない部分はない

日本でもウイキョウの名で古くから知られていたスパイスで、種子は和漢薬として用いられ、急性腸カタル、脚気、嘔吐、腹痛にも処方される。また精油は健胃、駆風、去痰作用を持つ。

フェネルの香味は品種や産地によってかなり異なるが、種子はアニスによく似た甘い香りと若干の苦味、ショウノウのような香味を特徴とする。ディルシードよりも甘く繊細な香りである。芳香成分はアネトールとフェンコンで、アネトールが多いと甘味が強く、苦味が弱くなる。

スパイス豆知識・古代ローマの詩にも掲載!

ローマ帝国時代のロングフェローの詩の中に「猛々しい剣士の食事にはこのハーブを混ぜよ。そうすれば荒々しさも和らぎ、かつよく闘うであろう。フェンネルのリースを冠の様に被りて。」とあり、当時の軍人は健康維持のために、貴婦人たちは美しいボディラインを保つためにフェンネルを食したと言われている。

 

39・フェヌグリーク

hvoya/Shutterstock.com

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  • [英名]Fenugreek
  • [和漢名]ころは
  • [学名]Trigonella foenum-graecum L.
  • [科名]マメ科
  • [原産地]西アジア ギリシア
  • [向いている料理]カレー 炒め物 パン チャツネ
  • [薬効]口腔病 胃腸障害 漢方のコロハ丸に配合され滋養、健胃、駆風、腎臓虚冷などの薬効がある。

 

栄養価と薬効成分に再注目が集まるスパイス

地中海沿岸原産のマメ科の1年草で、花が終わった後にマメ科独特の形をした細いさやを結実させる。中にはいびつな四角形をした固い種子が入っており、種子はそのままではカレーのような匂いを発するが、軽くローストして粉に挽くとカラメルのような甘い香りに包まれる。

古くから薬用、食用、香料原料および家畜の飼料として使われてきた歴史を持ち、日本には享保年間に渡来したがあまり人気がなく栽培されなかった。しかし最近になってその薬効成分が注目され広まりつつある。種子に粘液とともにディオスゲニンが含まれており、経口避妊薬と性ホルモン薬とをあわせた働きをする。

イスラム圏の栄養補助食品

マメ科の植物であるため種子は栄養価が高くタンパク質、ミネラル、脂質、ビタミンなどが豊富に含まれる。中近東やアジア諸国では宗教上の理由で肉を食べないため、栄養面で重要な食物となっている。
また、食品以外にもタバコのフレーバーや東洋調の調合香料に利用されている。

スパイス豆知識・良い干し草の香り!

葉は乾燥させると干し草に似た良い香りを発するので、質の悪い干し草をごまかす時にこの葉を入れる事がある。学名のfoenum-graecumはラテン語で「ギリシアの干し草」の意で現在でも飼料用作物として栽培される。