- ペッパー
- ヘンプ
40・ペッパー
- [英名]Pepper
- [和漢名]胡椒(コショウ)
- [学名]Piper nigrum L.
- [科名]コショウ科
- [原産地]インド南西マラバー沿岸
- [向いている料理]ステーキ ソース フライドチキン ムニエル チャーハン スープ 魚料理※一般にペパーは甘いフレーバーを持つ食品を除きほとんどすべての料理に適合する。
- [薬効]健胃 防腐 矯臭 食欲増進 発汗 利尿 消化促進
大航海時代の冒険家の夢だったスパイス
南インドが原産地で、紀元前10世紀のインドの医学書や古代ローマの記録にもすでにペパーに関する記述があるほど、歴史の古いスパイスである。中国の漢の時代にシルクロードを渡りヨーロッパに運ばれ、胡(西方、外国を指す)の椒(山椒や花椒のような刺激的なもの)で胡椒と呼ばれ、そのまま和名にもなった。
その刺激的な香りや辛味だけでなく肉の防腐にも役立つので、ヨーロッパの人々に非常に珍重されるようになり、やがて金銀と同価値で扱われ長い間スパイス貿易の主役となった。
万能調味料として世界で使われるスパイス
ペッパーは世界中で最も親しまれているスパイスの1つで、肉や魚の臭みけしや料理の下ごしらえに塩と胡椒が使われることが大変多い。
ステーキなどに使う場合は新鮮な香りを楽しむためにミルで挽きたての物を使い、マイルドな味のホワイトペッパーは料理の仕上げに使用すると良い。いずれの使用も可能な限り使用直前にペッパーミルで挽いて使うと香りがよくおすすめである。
グリーンやレッドやピンクなど最近はカラフルなペッパーが出回り始めたが、これらは料理の彩りとして使用される。
ペッパーの薬効
その薬効は幅広く、ヨーロッパ、中国、インドなどで古くから重用されてきた。昔は興奮剤、駆風剤、下痢止め、コレラ、関節炎などの治療に用いられ、漢方でも発汗、駆風、健胃薬として内服、またはへその上に膏薬として外用する。
日本でも正倉院の薬物として献納された記録がある。
スパイス豆知識・沖縄にも自生する長胡椒!
胡椒の仲間で長胡椒、ロングペッパーとよばれる種類があり、古代ギリシアローマ時代は、丸いコショウよりはるかに高価であった。日本にも沖縄で栽培されており、今でも存在するスパイスである。
41・ヘンプ
- [英名]Hemp,Hemp plant
- [和漢名]麻の実
- [学名]Cannabis sativa L.
- [科名]クワ科
- [原産地]中央アジア
- [向いている料理]七味唐辛子の材料 砕いてパンやケーキに混ぜ込んで食感を楽しむ。オイルをドレッシングに使用するなど。
- [薬効]血管の老化 ガン 更年期性の鬱 骨粗しょう症
七味の唐辛子の材料にも
麻は繊維を得る為に栽培される作物だが、その種はスパイスとして食用にも利用できる。ただし麻の雌花や若葉にはテトラハイドロカナビロールという麻酔性物質が少量ながら含まれるため栽培の規制が厳しい。
日本でも七味唐辛子の材料にも使用され、種はパンや焼き菓子に混ぜ込んで食感を楽しむ事も出来る。
注目が集まる良質の油
近年、麻の油の健康効果に注目が集まっており、ヘンプシードオイルなどが注目されている。WHOが推奨する不飽和脂肪酸のバランスは、オメガ6とオメガ3のバランスが4対1であるのが望ましいとされているが、食用油の中で麻の実オイルのバランスはこれに近いためである。
麻の油は加熱に弱く酸化しやすいため、ドレッシングやパスタにかけたりと、生食がおすすめ。
また、ヘンプシードから作るヘンプミルクは、牛乳・豆乳に続く第三の植物性ミルクとして注目を集めている。海外でもヘルシー志向の人に人気が高いミルクである。
スパイス豆知識・麻の実と亜麻の違い!
日本語で麻がつくので混同されがちだが全く違う植物である。麻はクワ科で英名はヘンプ。亜麻は亜麻科で英名はリネン。大麻といわれるのは麻なので、以前、七味唐辛子の中の麻の実から大麻を栽培し逮捕された人もいる。
ちなみにジュートと呼ばれるのはシナノキ科の黄麻でマニラ麻は芭蕉の仲間である。