- リコリス
- レモングラス
47・リコリス
- [英名]Licorice
- [和漢名]甘草(カンゾウ)
- [学名]Glycyrrhiza glabra L.
- [科名]マメ科
- [原産地]アジア 南東ヨーロッパ
- [向いている料理]甘味があるので砂糖の代用品になる。五香粉の材料
- [薬効]咳 咽頭痛 風邪 気管支炎 腹痛 下痢 歯痛
甘味料として大活躍のスパイス
マメ科の多年草で中国原産のリコリスは、南欧および東欧から中東、ロシアにかけての地域で乾燥した自然条件の厳しい半砂漠地帯に自生している。栽培している地域もあるが、野生のものを収穫している事の方が多い。
根茎部は非常に甘く和漢名も「甘草」という。乾燥させたものを粉末にして使用するが、砂糖の150~200倍の甘さを持ち、砂糖が輸入されるまでは甘味料として使われていた。
甘味成分はグリチルジンで、根は加工食品分野で利用されることが多く、主産地であるスペインやイタリアでは根茎を潰して汁を搾り、棒状に固めた「棒リコリス」が市販されている。これはお菓子としてそのまま食べたり甘味を必要とするキャンディやドリンク、リキュールなどに甘さを出すのに使われている。
隠し味として日本人の舌に馴染みのある味
日本ではタバコの調味や漬物、みそ、塩辛、佃煮などの調味や、ウスターソース、ケチャップの原料として天然の甘さと旨みを出している。カレー粉にも配合される。中国では広東料理、特に鶏料理によく使われ、五香粉にも配合されている。
漢方薬としては朝鮮人参と並んで薬効が高く、用途の広い薬剤として「薬中之王」と呼ばれる。解熱、解毒、鎮咳、抗菌作用があり、気管支喘息や風邪の薬、ドリンク剤に用いられている。
スパイス豆知識・大量に長期間摂取しない!
リコリスを病気を治す目的でサプリや漢方薬などで摂取する際には、量と期間に注意する必要がある。多量に摂取すると副作用の危険が示唆されており、リコリスに含まれるグリチルリチンを大量に摂取すると高血圧、鬱滞、低カリウム血症などの問題を引き起こすことがあるためである。
48・レモングラス
- [英名]Lemongrass
- [和漢名]レモンガヤ
- [学名]Cymbopogon citrarys Stapf 西インドレモングラス Cymbopogon flexuosus Stapf 東インドレモングラス
- [科名]イネ科
- [原産地]インド
- [向いている料理]東南アジアのカレー トムヤムクン ソース 煮込み 蒸し物 炒め物 ハーブティー
- [薬効]貧血 消化促進 食欲増進 疲労回復 発汗 鎮痛 駆風 中枢神経の機能調節 虫よけ
東南アジアでは毎日の食卓に欠かせないスパイス
タイの代表的スパイスでトムヤムクン、タイカレーペーストなどには必需品である。
葉と葉柄にレモンに似た芳香成分(シトラール70-80%、リモネン、ミルセン、ジペンテン、ゲラニオールなど)があり、レモンよりレモンらしいと言われるほど強い香りでレモンフレーバーの原料にもなる。
レモングラスの葉はイネ科なので、その見た目はすすきに似ており、根元はふっくら丸みを帯びている。現在日本にあるレモングラスは、穂を出すことがなくどんどん株が増える種類である。
使い方のポイント
フレッシュ、ドライ、両方とも使用できるスパイスで、フレッシュで使う場合は、地上部の葉茎2~3cm位のふっくらとした白っぽい部分をスライスして使い、葉の部分はティーとして利用する。
現在タイから空輸もされているので比較的簡単にフレッシュも手に入り、残ったものは冷凍保存が可能である。葉や固い部分はお風呂に入れたりポプリや虫よけになる。ドライを使う場合は、フレッシュよりもアクが強く苦味が出るので加熱時間を短くするとよい。
スパイス豆知識・鉢植えは寒さに注意!
日本でも園芸店のハーブ苗売場で扱っており比較的簡単に手に入るレモングラスの苗だが、日本の冬の寒さには弱いので、必ず室内で越冬させることが大切である。地植えの場合も株元は鉢あげし、春に移植すれば再び生き生きと葉を繁らせる。